萩尾望都『一瞬と永遠と』


萩尾望都先生エッセイ『一瞬と永遠と』。
四年前に刊行された単行本の文庫化です。単行本の装丁では萩尾先生のイラストでは無くアーティスト・ミヤケマイさんの作品が使用されており、今回は先生ご自身のイラストを使いたい、イラストを使うけどマンガの装丁とは違う雰囲気を出したい、とのご要望。担当編集者さんが先生との打ち合わせ時に「ぜひイラストを使わせていただきたいのですが…」とお伝えしたところ、「この辺りのものはどれを使っても大丈夫ですよ」と先生。思いがけずその場でイラスト候補の現物に直面し、初めて訪れたあこがれの先生のアトリエでの打ち合わせの緊張と感動とちゃんとイラストを選ばねば…という責任感とであせりながらもなんとか選びデジカメで撮影されたという十数点の候補画像を見ながら相談し、この黒猫を抱いた少年のイラストと、もう一点のこれまた少年と猫のイラストの計2点に候補を絞りました。

担当編集者さんとの打ち合わせ時はエッセイ内容を読む前だったので、わたしの中の萩尾先生のイメージと、エッセイなので猫がいると良いなという(先生は大の猫好き!)感覚的な理由で選んだのですが、そのあと内容を読んだところ、ものすごくぴったりなイラストと確信し、両イラストでラフラフを作り、担当編集者さん、編集部のみなさんの意見も一致し、このイラストに決定しました。

エッセイ中に「私には分析グセがあって、感動したり感銘したものを、”なぜ感動したか” 言葉におきかえたがる。言語化できない感情、事項はないと、思っている。あいまいならなおさらだ。言語化すると形がつかめ、形に至る道筋が見える(P190 本文引用)」とあり、その誰のものでもない先生の、シンプルで美しく言語化された感性と思索に圧倒されます。



帯もデザインしました。
美しいイラスト、タイトル、著者名はもちろん、余白も大事な要素と意識してレイアウトしました。著者名の色は黒猫の目の色です。こんな目で鋭くいろいろ分析されているような。5月6日発売。

朝日文庫 / 2016
illustration by 萩尾望都 「あぶない丘の家」(「あぶない未来少年」予告カット)
cover design
[ポートフォリオ/本
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